『昔話絵本を考える』
松岡享子/著 日本エディタースクール出版部
昔話には不思議な魅力があります。特に子どもはとてもよく聞いてくれます。
この本はホフマンの昔話絵本『七わのからす』(福音館書店)を題材に、1971年と1972年の2回行われた昔話についての勉強会(合宿!)をまとめた本です。ホフマンの描いた『ねむりひめ』や『おおかみと七ひきのこやぎ』は違和感なく読み聞かせができるのに、『七わのからす』はなぜ、しっくりこないのか?昔話を耳で聞くことと、絵になったものを見ることの違いが丁寧に考察されていきます。時空も残酷さもさらっと乗り越えて語られる昔話の奥深さと、ロングセラーの絵本は絵と文が一体になっている完成された作品であることを再認識できます。自分が子どもの時に心躍る楽しいお話に出会えたのは、半世紀以上前の日本で、子どものための文学について真剣に取り組んでくださった方々のおかげなのだなぁと感謝です。
那珂川市図書館(りてさ)
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